解決事例(1)

訴訟で遺産相続問題を解決した事例

事案の概要

依頼者(姉妹)の父が死亡し、遺産分割することになったが、姉妹は、両親の子どもは自分たち2人だけと信じていたため、父の遺産の分割は母が死亡したときに一括して行えばよいと考え、父の遺産を全部母に取得させるという遺産分割協議書を作成し、不動産のみ母名義に相続登記して、銀行預金等は父名義のまま放置した。

その後、母が死亡し、父の遺産を含めて一括して姉妹間で遺産分割しようとしたところ、母の前夫との間に生まれた姉(以下「異父姉」という。)が現れ、父の遺産を含めた母の遺産の三分の一を貰いたいと要求してきた。

解決ストーリー

姉妹から相談を受けた私は、遺産分割調停申立事件として事件を受任しました。私は、先ず異父姉と裁判外での遺産分割交渉を試み、続いて遺産分割調停の申立をしましたが、異父姉が頑強に父と母の遺産の三分の一を要求したため、和解は不調となりました。
そこで、私は、調停申立を取り下げ、銀行と異父姉を被告として、父名義の銀行預金等は依頼者姉妹のものとする民事訴訟を提起しました。
訴訟は、銀行も異父姉も争ったため紛糾しましたが、最終的には、

  1. 依頼者姉妹が全財産の六分の五を、異父姉が六分の一を取得する
  2. 銀行は依頼者姉妹のみの銀行預金等の解約請求に応じる

ということで和解が成立しました。

弁護士からのコメント

相続を巡って紛争が生ずる場合としては、以下のものが考えられます

  • 親が死亡した後に異父(異母)兄弟姉妹がいることが判明した場合(本件がこれに該当します。)
  • 相続人が子と継母(継父)である場合
  • 特定の相続人に遺言書により全財産が遺贈された場合
  • 特定の相続人が親の存命中に多額の贈与を受けている場合
  • 特定の相続人が親の存命中に親の財産形成・維持に特別に寄与したものがある場合
  • 祖父が死亡したが何ら遺産分割が為されず、不動産の名義が祖父名義のまま放置されていて、親の代でも遺産分割がなされず、孫の代になって遺産分割協議をしようとしたところ、相続人が叔父・叔母・従兄弟など多数人に及んでしまった場合(本件は部分的にこれに該当します。)

などが考えられます。
相続を巡る紛争は、後々禍根を残さないためにも弁護士に相談して法的手続きにより解決することをお勧めします。法的手続きによる解決としては、通常遺産分割の調停・審判の申立によりますが、本件のケースや遺留分減殺請求のように民事訴訟による場合もあります。